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原作・髙樹のぶ子からのメッセージ

映画「マイマイ新子と千年の魔法」(C)2009 髙樹のぶ子・マガジンハウス/
「マイマイ新子」製作委員会

『マイマイ新子と千年の魔法』は、アニメであってアニメではありません。
少なくともアニメらしいアニメではないのです。
人は空を飛ばず、空想上の生物は活躍しません。
現実から逃避した物語で遊びたい人は、きっと失望しますから、見ないでください。
おまけに泣きたいぐらいに古い。切ないほどに身近です。
ここに描かれている人物は、過去、現在、未来のすべてに、生きて実在しているフツウのアナタだからです。
新子の魔法は、一度かかると永遠に覚めません。覚めない魔法……なぜならスクリーンから与えられたものではなく、見る者の心の中で、切なく懐かしく、しみじみと起きた変化であり、人の思いは時を越えて行き来できるという確かな発見だからです。
私たちはいま、大自然の危機に直面し、生き迷っています。
そんな時こそ、古い教科書のページを捲って、私達はどこから来たのかを確認するべきではないでしょうか。
そこにはきっと、未来への処方箋が隠されています。麦畑の緑の海や小川のきらめき、目に見える生と死、家族のつながり、子供たちの背負った哀しみの影の中に……古いけれど永遠に変わらない人間の原風景の中に、処方箋を読み解く呪文が在る……。
今こそ古いものほど新しい……その発見こそ、覚めることのない魔法です。

あるいは、こうも思うのです。このアニメ世界こそが本来の姿であり、高度成長に狂った昭和三十年からの年月こそ、日本と日本人は「物質的に豊かになれば、 幸せになれる」という間違った魔法に掛けられていたのではないか。新子は私達に魔法を掛けるのではなく、解き放とうとしているのではないだろうか。

世界は単純ではなく、生きるのは困難だけど、すべての子供たちに、自分の心の底に流れる水の美しさを知って欲しい。千年の時を流れる小川は、現代の都会の子供にも流れているのだと。

それを教えてあげるのは私たち大人の役目ではないでしょうか。